先輩医学生からのメッセージ

令和5年度卒業生、学年代表 山村 収天

令和5年度に大阪大学医学部医学科を卒業し、大阪労災病院で初期研修医として働かせていただきます。この度医学科教育センターの渡部教授より、6年間の学生生活を振り返る機会をいただきました。拙い文章ではありますが、少しでも後輩の皆様の参考になれば幸いです。


学生生活(~4年次)

1年次から2年次の前半は主に豊中キャンパスで、他学部の学生と一緒に外国語や数学、社会学などを学びます。医学と関連の薄そうな授業ばかりとなりますが、自分が興味をそそられる講義を選んで受講できる点が魅力です。またこの1年半が医学部以外の学生と交流しやすいタイミングとなりますので、この時期に色々な学生と交友を深め遊ぶのも良いでしょう。
2年次の後半から、本格的に医学の授業が始まります。低学年の頃は正常な人体の機能・構造を学ぶ「基礎医学」が主となります。目玉となるのが2年次の後半にある解剖実習で、実際にご献体にメスを入れることで人体の構造を隅々まで学ぶこととなります。解剖学のほかにも生理学・病理学・薬理学などを、3年次の半ばまでの期間で一気に勉強します。
その後、実際に医師として働かれる先生方から「臨床医学」を学ぶこととなります。これまで学んできた人体の正常機能のうちどこがどう破綻して病気になるか、どの機能をどのように補填すれば治療となるか、基礎医学で学んだことも踏まえて学習していきます。特に臨床医学の時期はテストが多く大変ですが、後の為と思って頑張りましょう。
4年次の秋には、今までの全ての医学系科目が試験範囲となるCBT、診察手技を正しく行えるか確認する実技試験のOSCEがあります。それら試験を乗り越えたら、いよいよ臨床実習です。

臨床実習

CBT、OSCEを終えると、阪大病院や関連病院での臨床実習が始まります。先生方の診療や手術を間近で見学し、これまで学んだ知識をより深いものとしていく絶好の機会です。またただ見学しているだけでなく、実際に患者さんの診察をさせていただいたり、手術の助手を務めさせていただくこともあります。教科書には中々書かれない、実臨床における感覚や勘所を養うことができる良いタイミングです。
また6年次の4~6月で、希望者は地域実習や海外実習に行くことができます。地域実習では日本全国の病院やクリニックで実習することができ、海外実習では海外の有名大学・病院の医療を経験することができます(いずれも一定の条件はあります)。地域や国によって、同じ疾患でも治療法が異なるということも多々あるようです。多角的な視点を養うためにも、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。

学年代表

私は2年次の秋から、約4年半のあいだ学年代表を務めさせていただきました。学年代表はいわゆる「先生と学生の橋わたし」で、大学側からの連絡を学生に広報したり、逆に学生側からの意見・要望を先生方にお伝えすることが主な業務です。学年のとりまとめを通じてリーダー業務のどういった点が大変かを学ぶことができた点は、大変有意義であったように思います。



マッチング

マッチングとは初期研修病院を決める就職活動で、6年次の7~8月に各病院で試験を受け、10月末に結果が決まります。試験内容は個人面接、集団討論、小論文、筆記試験など病院ごとに様々であり、それぞれに対応しなければならないためかなり大変です。面接練習や小論文の添削を友達とたくさんし合いましょう。
医学部生活において「情報」が何より重要なのは皆さんご存知だと思いますが、その最たるものがこのマッチングだと思います。病院見学で先生方、先輩方からどんなことを聞くか、友達とどんな情報を交換するか、そして採用面接や見学にて自分のどんな情報を出すか、これらが全てマッチングに繋がっていきます。


医師国家試験

医師国家試験は、受験者の上位おおよそ9割を受からせる試験だと考えてもらえれば良いかと思います。これだけ聞くと簡単に見えるかもしれませんが、もし落ちてしまった場合は1年浪人かつマッチングもやり直しとなってしまうため、相当なプレッシャーの下勉強しなければなりません。直前期に焦るのは精神衛生上大変よろしくないので、6年次の初めくらいからコツコツ始めることをお勧めします。
また昨今の国試は、臨床での判断力を問う問題が多く出される傾向にあります。こういった問題は教科書を読んだり過去問を解くだけでは太刀打ちできませんので、臨床実習でたくさん吸収することを大事にしてください。進捗の確認がてら自分の認識がズレていないかを確かめるために、友達と一緒に勉強するのも有効です。

最後に

6年間を通して、先生方や同期、先輩や後輩など大変多くの方々にお世話になりました。この場を借りて心より感謝を申し上げます。大阪大学で得た膨大な知識と経験を活かして研修に励み、立派な医師となることで還元していきたいと思います。




令和6年3月29日
山村 収天

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