先輩医学生からのメッセージ

令和3年度卒業生、学年代表 藤中 玲

令和3年度に大阪大学医学部医学科を卒業し、虎ノ門病院で初期研修医として働く、藤中玲と申します。この度、後輩に贈る言葉として学生生活を振り返る機会を、医学科教育センターの渡部先生よりいただいたので、拙い文章ではありますが、少しでも在学生や受験を考えている皆様の参考になれば幸いです。


学生生活

 医学部の学生生活は一般の大学生のものとは少し異なります。6年間かけて行う勉強だけでなく、部活動やサークル活動、バイト事情など特殊なことがいっぱいです。今思えば私の学生生活も特殊でした。
 医学の勉強:大学に入るとまずは2年弱、教養として他の学部に混ざって外国語など様々なことを学びます。次に2年次の後半から病理学や生理学、解剖学などの基礎医学を学び、続けて臨床医学を学びます。5年生からはStudent Doctorとして病院で実習を行いますがこの間に研究室配属や地域実習、海外実習等の様々なカリキュラムが用意されています。特に低学年の間は、なんでこんなことを勉強しないといけないのだろうと思う単元もあるかと思います。しかし、今になってやっと分かったことですが、結局最後に学ぶ臨床に全てつながってきます。めげずにどの分野の勉強も頑張ってください。
 部活動・サークル:私は医学部の運動部に2年生まで所属し、その後は全学のサークルに所属しました。私の場合は中高で部活をしていましたし、大学でしたいことがあったので途中で路線を変更することになりました。6年生まで部活をする人もいれば、途中で研究を始めたり、事業を行ったりする人もいたりと色々な選択肢があります。何が正解かは分かりませんが、やりたいことを6年間追求すれば必ず後悔はしないはずです。

臨床実習

 4年生まで試験、CBT、OSCEを乗り切ると、いよいよ臨床実習です。臨床実習では、実際に患者さんに診察してカルテを記載したり、カンファレンスで発表したりします。手術に入って手技を経験させていただく機会もあります。実際に行われている診察を目の当たりにすることは刺激になりますし、教科書では得ることができないほど多くの学びがあります。
 また、大阪大学では、希望すれば地域実習や海外実習に行くことができる期間があり、地域実習では条件を満たせば、日本全国の病院やクリニックで実習を行うことができますし、海外実習もIELTS等のスコアを満たせば海外の有名大学・病院の医療を経験することができます。私はオーストラリアとアメリカに計2カ月行く予定でしたが、COVID-19の影響で残念ながら中止となってしまいました。貴重でユニークなプログラムですので、是非とも積極的に参加してみてはどうでしょうか。

学年代表

 入学前から知り合いが多かったこともあり、入学式で推薦いただいたことから学生代表を務めることとなりました。学年代表の仕事は先生方からの連絡を学年全員に共有することに加え、誰がどこの診療科をいつ回るかなど学生側に任されたことをとりまとめるということです。特に後者ではコロナ禍での自習室利用をGoogle formで管理したり、これまで紙に書いて抽選していたものをオンラインで行うなど学年代表として工夫して尽力した記憶があります。
 学年代表をすることのメリットは先生方と交流する機会が増えるということや、マッチングの面接で話す一つのネタになったりと色々ありますが、一番は学年全員と連絡を取るので全員と仲良くできるということだったと感じます。大変な時や思い通りにいかない時もありますが、やりがいのあることですので是非トライしてみてください。

マッチング

 マッチングとは医学生の就職活動です。6年生の夏に初期研修を行いたい病院の採用試験を受け、秋頃に結果が発表されます。病院ごとに研修内容や忙しさは違いますし、採用方法も面接や学力試験、小論文など様々でとても悩みます。本当に大変な時期ですが、友人たちと面接練習をしたり、長所短所を探すため自分自身と向き合うという経験は今後することはないと思います。妥協せず将来のために友達と協力・切磋琢磨したことは大袈裟かもしれませんが一生の思い出になりました。どの病院が自分に最適かは2年間の初期研修を終えてみないとわからないと思いますが、まずは病院見学や先輩の話を通して、しっかりと情報収集をしてみてください。

医師国家試験

 正直、私自身勉学に励むようになったのは医師国家試験を意識し始めた6年生の頭からですが、沢山の教科書を友人たちと吟味しながら必死に勉強したことは今では大切な思い出です。
 国家試験の勉強法は集団でも個人でも自分にあった方法を選択するといいと思います。ただ、時々友達と進捗状況を共有したり、どの模試を受けるかなど周りと歩調を合わせることは非常に大切です。勉強の良い息抜きもなります。早く対策するのに越したことはありませんが、6年生になるまで勉強をほとんどしてこなかった場合でもなんとかなります。各予備校の評判や受けるべき講座など情報が錯綜します(特に国家試験直前)が、一つの予備校に絞り、知識と動画講義で簡単に整理し、QBで定着させれば大丈夫です。
 私の場合、先述のマッチングでしっかりとした筆記試験が課せられる病院をいくつか受けたため、尻に火をつけられた思いで勉強を頑張った記憶があります。勉強のモチベーションがない人は学科試験がある病院を一つ受けることにするのもいいかもしれません笑

最後に

 大阪大学の6年間では、数えきれない程の知識と経験を得ることができました。また、偉大な先生方にお会いし、自分の理想の将来像を描くこともできたように思います。そして、何よりも、今後一生の友になる同期たちにも出会えたことは大きな財産です。大阪大学で学ぶことができてよかったと心の底から思います。
 これまで支えてきてくださった先生方、先輩方、同期、後輩、そして家族。関わった全ての方々に感謝申し上げます。これまで受け取ったものを還元できるよう、まずは研修を頑張り、日々精進していきたいと思います。




令和4年4月28日
藤中 玲

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