先輩医学生からのメッセージ

令和元年度卒業生、学年代表 辻井 敦子

大阪大学医学部を卒業し、国立病院機構大阪南医療センターで初期研修医として働かせていただきます。医学科教育センターの渡部先生より6年間の学生生活について振り返る機会をいただきましたので、簡潔にではありますが書かせていただきます。私の経験が少しでも後輩のみなさんのお役に立てば幸いです。


学生生活

今はカリキュラムが変わっているかもしれませんが、私たちの時には2年生の前半までが一般教養、2年生の後半より医学部の授業が始まりました。しかし、1年生より医学部の授業は週に1,2回あり、また早期臨床体験実習という1年生のうちより1週間ほど病院で臨床実習を行うというものもあり、医学部の勉強に少しでも触れられることが嬉しかった記憶があります。その後、解剖学や遺伝学、生理学のような基礎医学を学んだ後、内科学、外科学のような臨床医学の授業という流れになります。基礎医学を学んでいる間は、難しい内容も多いと感じることも有ると思うのですが(実際、私もそうでした)、臨床医学やさらに臨床実習に進む際、必ず役に立つことが来ると思います。基礎医学で解剖や遺伝などについて学んでいるからこそ、臨床医学で、病態や治療法、検査の理解につながるということを実感できました。

臨床実習

CBT(筆記試験)、OSCE(実技試験)を経たのち、臨床実習を行うことができます。阪大の実習の一番よい点は、やはり豊富な関連病院も含めて臨床実習を行えるという点だと思います。すべてが希望通りになるとは限りませんが、自分の希望に合わせて実習先を選ぶことができます。大学病院では最先端の医療を学んだり、論文の抄読などを含めじっくり考える機会が多いですし、関連病院ではcommon diseaseを中心に多くの症例を学ばせていただける、などそれぞれ特徴があり、どの実習も非常に有意義でした。

また、選択実習の期間があり、地域実習や海外実習などを自ら選んで実習を行う期間があります。私の場合、ニューヨークのNew York Presbyterian Hospitalの移植外科と心臓血管外科にて1カ月実習させていただきました。日本とは違う環境で多くの移植手術や心臓血管外科の手術を学ぶことができ、非常に有意義な実習でした。

学年代表

私は、実は学年代表を務めたのは5年生からです。1年生の時には立候補する勇気がなかったのですが、学年代表としての仕事に興味があり、教育センターの渡部先生に一度学年代表会議に参加してみたらいいよとおっしゃっていただいたことがきっかけでした。月に一度の学年代表会議への参加に加え、実習先や留学先の取りまとめや留学発表会の準備などを行いました。実際、実習班の取りまとめなど、大変な点もありましたが、少しでも学年の皆が良い実習を受けられるようにと学生なりに考えることができたこと、また学年代表会議を通じて先生方のお話を聞いたり学年の意見を伝えさせていただけたことなどは、非常に勉強になることが多く、携わることができて良かったと思っております。

課外活動

私は、医学部合奏団にてピアノと合唱をしておりました。学年を超えて色々な方と一緒に演奏させていただいたことは非常に楽しかったです。ここでは、部活動以外の活動について書かせていただこうと思います。私は、医学部の4年生の時に生理学クイズ日本大会2017(優勝)と、世界生理学クイズ大会(IMSPQ2017、マレーシア、予選通過)に、5年生の時に第一回臨床推論GP(第二位)というクイズ大会にチームで参加しました。医学のクイズ大会といってもイメージがわきにくいと思うのですが、チームで医学の問題を解くというもので、解きごたえのある難しい問題も多く非常に面白い大会です。他大学の学生との交流もできますし、チームでひとつのことに取り組むことは非常に楽しいです。また、世界大会では、世界の医学生と交流することができ、レベルの高さを痛感致しました。何か新たな挑戦をしたいと思っている方など、是非、トライしてみてはいかがでしょうか。

また、不定期ではありますが、日本に来ている留学生と交流させていただくことも有り、日本との文化や医療の違いなどについて語り合ったり、日本の名所に案内をしたことも非常に刺激的でした。海外留学に行った際、現地の学生さんが本当に親切に案内してくださり、海外での不安が和らいだので、自分も逆の立場の時は積極的に話しかけたいと思っていたことも有ります。皆さんも、もし留学生の方を学内で見かけたら、思い切って話しかけてみてください。英語の上手下手に関わらず、コミュニケーションをとることができることは楽しいですし、はるばる阪大まで留学に来てくれた留学生の方も、話しかけてもらえるときっと心強いと思います。

大阪大学の非常に良かった点は、上のようなクイズ大会に出場する際にも先生方がサポートしてくださったり、留学に関しても奨学金などの支援があり参加しやすい環境にあるということです。また、MD研究者育成プログラムでの研究活動や、それ以外にも学会発表を支援してくださる体制があり、研究や学会発表をさせていただいたことも非常に有意義でした。さらに、何でも挑戦してみたい、という精神の強い人が多いように感じます。そのような方と新しいことに挑戦できたことも、大阪大学に入学してよかったと感じる一つです。

医師国家試験

医師国家試験は、最後におとずれる最大の壁です。合格率は9割なのですが、逆にそのことがプレッシャーになったことがありました。また、必修問題ではどんな難易度になったとしても8割をとらなければならないということも、怖い点だと思います。私は、実習などの時はどうしても国家試験の勉強をする時間があまりとれず、不安になったことも有りました。早くから勉強を始めた方が、気持ちに余裕ができるのではないかと思います。ただし、最近の国家試験は臨床実習重視の傾向が非常に強いと思いますので、臨床実習を一生懸命行うことが結果的に国家試験にも、そして卒業後にもつながるのではないかと考えております、また、臨床実習でしか学べないことが有り、将来進む診療科によっては、学生時代に逃してしまうと2度と学ぶことができないことも有ると思いますので、大切にしなければならないと思います。

最後に

私が6年前に大阪大学に入学した際には、医学や研究を学ぶことができると胸を高鳴らせていました。実際6年間経ってみると6年前想像していた以上の経験をさせて頂き、尊敬できる先生方、先輩方、同期、後輩と出会いました。素晴らしい出会いがあったからこそ多くの経験ができたと思います。この文章を書かせていただき、改めておおっくの方々に支えられた6年間だったと実感しております。充実したカリキュラムを支えてくださった医学科教育センターの先生方、そしてすべてのお世話になった先生方に心より御礼申し上げます。


令和2年3月30日
辻井 敦子

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