先輩医学生からのメッセージ

平成30年度卒業生、学年代表 中渡瀬 智

大阪大学医学部を卒業し、和歌山県紀南病院で初期研修として働かせていただきます。私は人のお手本になるような人間では決してありません。しかし、卒後教育開発センターの渡部先生にせっかくいただいた機会ですので、私が6年間の学生生活を通じ、経験してよかったことや、感じたことを少しでも後輩の学生たちに役立てばと思い、簡潔にではありますが執筆させていただこうと思います。



大学生活

勉強に関しては、大学3年生までの基礎医学の時は、自分にとって謎で難解な遺伝子名や病名などを徹夜漬けで覚えてテストに挑み、何とか合格を勝ち取っては、「自分はいったい医学の勉強をしているのか?」とふと疑問に思うことがたくさんありました。そんな私が、今までの知識の断片が繋がりだすのが4回生の後半でした。臨床医学を一通り1年間で勉強するというシビアなカリキュラムの中でしたが、一つ一つの臨床の知識がつながり、基礎医学で「なぜこの遺伝子がテストに出るのか?なぜこのことを覚えなくてはならないのか?」と思っていたことが活用できた時には、もう少し基礎医学を真面目に勉強すればよかったと後悔いたしました。
(ただ、いざ3年ぐらいにタイムスリップしたところでもっときちんと勉強したかは謎でありますが…)

私が大阪大学のカリキュラムの中で魅力的だと思うのは、学生時代に踏み込むのに労力がいる、海外留学であったり、MD研究者育成プログラムや基礎配属などの基礎研究を、より気軽に踏み込むことが出来るというところがあると思います。そして、それを可能にしてくれているのは、学生の熱意に応えてくださる先生方の懐の大きさではないかと私は考えます。私自身、5年生の選択実習でNew York Presbyterian Hospitalに留学させていただき、心臓血管外科と移植外科で勉強させていただきました。非常に刺激的な毎日を過ごさせていただきました。日本の病院で、ある程度、臨床実習を受けている段階であるからこそ見えてくる日本との違いや、なぜ先生方が海外で働くことになったかなど、あまりにも狭い自分の視野を広げる貴重な機会となりました。ここ数年は毎年30~40人ぐらいが選択実習で海外に学生が留学しています。下級生の時に留学など私自身まったく考えていませんでしたので、現在全く考えていない皆さんも、是非選択肢いれてみたらどうかと思います。

学年代表

学年代表の仕事は、学年全員の先頭に立ち、先生方と試験のことや授業カリキュラムについて話し合ったり、学年として実習班の班分けをしたり、細かい作業をあげだすときりがありませんが、多少面倒だと感じる仕事も多いです。しかし、この役職を通じて、学年のリーダーとしてみんなをまとめていく仕事の難しさなど、これからの人生において必要となる資質を色々と学ばせていただいた気がします。また、先輩の学年代表や教育センターの先生方とお話させていただく機会も多いので、マッチング関連やカリキュラムに関して前もって色々と情報が入るという点についてもよかったと思います。。

マッチング

初期研修先を決めるマッチングについてですが、その選択の考え方も人それぞれだと思います。後期研修医でそのままその病院に残りたいという理由で受験する学生もいますし、初期研修医の2年だけを目的に受験する学生もいます。病院の立地や規模、研修医の採用人数、選択肢は幅広いので、考え出すときりがありません。5年生のうちから同級生や先輩、先生方からいろいろと情報を集めて、実際に見学に行き、自分の目でしっかりと確かめたうえで、自分の働きたい場所を見つけてください。

国家試験

私が医師国家試験を本格的に勉強を始めたのは6年生になってからでした。
大阪大学では卒業試験がない代わりに他の大学と比べて臨床実習の期間が11月までと長いですし、国家試験を勉強するにあたって非常に不利だと私は思っていました。そういうこともあり、6年の夏ぐらいはマッチング対策もしなければならないし、クラブ活動も頑張らなければならないとストレスに感じていた時期もありました。しかし、112回医師国家試験に受験し合格した今強く思うのは、最近の国家試験は問題傾向も臨床問題が中心ですし、呼吸管理などしっかりと現場で勉強していないとイメージができない問題が多くあります。私自身、大阪星医療センターのICUの先生方が呼吸や循環管理について色々と専門的なことまで教えてくださったので、本番でも全く慌てることはありませんでした。焦ってくると、臨床実習に集中できなくなってくる学生もいますが、実習中は指導してくださることに集中し、少しでも多くのことを吸収しようと努める方がよいと思います。あと国家試験中はなるべく1人に陥らないことも大切だと思います。人数が多いと勉強に集中できなくなる学生もいるかもしれませんが、みんなで確認しあったことは記憶の定着が早いですし、色々な情報を手に入れることが出来るし、何より精神的に疲れてきた時の支えにもなると思います。。

最後に

いよいよこれから医師として旅立っていく今改めて大切だと思うのは、「人と人の繋がり」です。このことは、色んな先生方が授業のたびに言っていましたが、6年間を終えて急に身に沁みてきました。医療の分野というのは、あまりにも幅広く、一人で勉強していても、分からないことだらけです。私は、頼もしい同期や先輩方から色々なことを吸収し、診療科や病院の枠組みを越えて助け合い、それをまた後輩に伝えていくことができるようにしたいと思っております。そういうことにより、少しでもよりよいチーム医療を実現することができるのではないかと私は思います。


平成30年3月27日
中渡瀬 智

 

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